研究内容

作成
2012-11-23(Fri)
最終更新
2015-03-02(Mon)

研究概要

情報理論や統計数理学に基づく情報解析法に関する基礎研究から、 実際の生体信号計測・解析・モデリングやミクロな生命情報であるDNA、 タンパク質の解析に関する研究を行っています。

生体システム解析・モデリング

循環器制御モデル推定による自律神経系の状態推定
自律神経系は我々高等生物にとって、生命維持のための欠かせない器官であるが、 物理的あるいは心理的ストレスなどによって機能不全に陥る(例えば乗り物酔い、 映像酔い、心的ストレスによる自律神経失調症など)。 直接、自律神経系の活動状態を計測することは困難であるが、我々は自律神経系の 制御を受けている循環器系の信号から循環器制御モデル推定を行うことで 間接的に自律神経系の状態を推定する方法を開発している。
光トポグラフィーや脳波を用いた脳情報処理機能の解明
睡眠や覚醒に関する研究は数多く存在するが、「眠気に逆らい覚醒維持の努力を している状態の脳・生理機能」に関する従来知見はほとんどない。我々はこれまでに、 時間−周波数解析と情報理論的等価帯域幅の概念を用いて、通常の傾眠状態とは異なる 特徴的な脱同期現象が脳波に現れることを明らかにしている。これらは単調作業の 安全性や学習効率の向上に有意義な知見を与えている。

応用研究

妊婦見守りシステムの開発
現在、周産期医療の現場では妊婦の健康状態を判断し胎児情報を得るために、 超音波エコー診断装置に寄る妊婦検診が行われており、胎児心拍数計測もその一つである。 しかし、二週間間隔の検診では突如起こる妊娠異常を捉えるのは難しく、より定常的に 妊婦及び胎児の健康状態をモニタリングすることが求められている。 我々は母体腹壁に貼付した複数の電極から生体電位を計測し、これらから独立成分分析 (ICA: Independent Component Analysis)を利用して、胎児心電を分離し、 心拍数を計測する方法を確立した。
てんかん脳波、パーキンソン病深部刺激、言語機能解析
近畿大学江学部脳神経外科と共同で、硬膜下脳波を使ったてんかん焦点の同定や、 パーキンソン病治療のための深部電極による電気刺激治療、さらにはfMRIを利用した 言語機能の研究を行っている。

生命情報の解析

分子動力学によるタンパク質の動態解析
計算機シミュレーション技術は実験と理論の橋渡しをする第3の科学として注目を集めている。 我々は「京コンピュータ」と互換性のあるスパコン富士通FX10を利用して、c-Mybタンパク質 の分子動力学計算ならびに得られた結果の数理解析(マルコフ解析やWavelet解析など)に 関する研究を行っている。(高圧力蛋白質研究センター)
トランスクリプトオーム解析
(生物工学科、細胞工学研究室と共同研究)

信号解析に関する基礎研究

正値時間-周波数表現に関する研究
ノイズ環境下における独立成分分析法に関する研究